焼けないビザ職人

来月、職場主催で開催される国際会議に向けて、目下準備を行っています。

参加希望者の中には、ビザが必要な国の人々もいます。

日本入国ビザが必要なのは、中国,ロシア・CIS諸国,ジョージア,フィリピン。

 

続々と届く依頼に応えるべく、片っ端から書類を作っています。
作っても作ってもやってくる依頼。
日本側のホスト団体として、その人の入局許可を希望する書類を作って各人に送り、それを各国の日本領事館に出してビザを発給してもらう段取りです。

 

ところが、送ったはずの書類が届かないという連絡もじゃんじゃん来ます。

なぜか中国からばかり。
郵便物の追跡調査をすると、どれもちゃんと配達済みになっているため、こちらとしては「届いてますよ」としか答えられませんが、「やっぱりない。どこにもない」と言われて、再び作成したりもしています。
そんなこんなで、ビザ書類ばかり作って一日が暮れていくような感じ。

 

おこがましくも、シンドラー、もしくは杉原智畝(すぎはらちうね)になったような気分。

彼らは素晴らしく人道的な方々なので、まあそう思うとやる気も出るというものです。

 

 

ここのところずっとビザ対応にかかりきりで、ほかの仕事が全く進まないので、ため息交じりに
「なんか私、ビザ職人になった気分」とつぶやきました。

 

すると同僚が「えっ?」と弾む声で聞きかえしてきました。
「ピザ職人?」

 

脳裏に伸ばした生地を空にほうり上げるシェフの姿が浮かびます。
「違うー!」
それなら職人魂を燃やせますが、いくら作ってもピザは焼けません。

 

今日は、ロシアのロマノフさんという人の書類を作りました。

ロマノフといったら双頭の鷲の紋章のロマノフ王朝。ブルボン並みのロイヤルネームだと思っていたら、普通の名字でもあるんですね。

じゃあこの人は王族?いえいえ、王家はロシア革命で途絶えたはず。

アナスタシア伝説とかありましたね。

 

と思って調べてみたら、ロマノフ家の血はちゃんと続いていました。

一番の若手、今の当主の息子は、ゲオルギー・ミハイロヴィチ・ロマノフさん。
ロシア情勢に疎いので、どんな立ち位置なのかよくわかりませんが、やんごとなき人です。
でもビザを出した人は、別人でした。残念!
まあ、特別のビザかもしれませんからね。元王家みたいな!?
そんな妄想を膨らませながら、まあそれなりに楽しく作業をしています。
「レーニンの "得意な(1917)" ロシア革命」、1917年。
今年は、ロシア革命が起こり、ロマノフ王朝が滅亡してから100年たった2017年。

ちょうど今、東洋文庫で「ロマノフ王朝展〜日本人の見たロシア、ロシア人の見た日本〜」が開催されているそうです。

 

自分の出したビザ申請書を使って、無事に全員入国ビザがもらえることを願っていますが、「日本にやってきたビザ所有者が、全員きちんと母国に帰ればいいね」と言われたりして、不安たっぷり。

日本でいなくならないで〜。
大使館職員って大変なんだわ。やっぱりシンドラーと杉原智畝氏のこと、尊敬しまーす。

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