一枚の絵との邂逅
ここのところ、いつになく(?)アウトドアな日々を過ごしており、その反動で、すっかり本から遠ざかっています。
なにか経験を積むたびに思うのは「事実は小説よりも奇なり」という言葉。
物語の疑似体験よりも、どうしたって、自分の実体験の方が大きく響くものです。

そろそろ秋も近づいてきたし、読書を再開したいところですが、本だけでなく、ちらほらとやりそびれてしまったことがあることに、気がつき始めています。
たとえば、行こうと思っていながら終わってしまった美術展とか。
チケットを発見して、(あー、行くつもりだったのに!)と残念に思うことがしばしばです。

行きそびれてしまった何枚ものチケットの中で、一番「あ”−!」だったのが、これ。
アンリ・ル・シダネル展です。(セイロンティーは、たまたまそばにあったお土産で、特に意味ナシです)


名前を聞いても、(はい?)とわからない人の方が多いでしょう。
私もわかりませんでした。日本でめての回顧展だそうです。

でも、このチケットを目にした時に、ハッと気付きました。
「これ、大原美術館の所蔵作品ですよね?」

美術に造詣が深い方から頂いた券ですが、その人も「へえ?」とよくわからないようでした。
でも、私ははっきりと確信していました。
なぜかというと、自分がとても気に入った絵だったからです。

大原美術館に行ったのは、高校の修学旅行の時。
たくさんのコレクションに圧倒されましたが、その中でも、この絵とギュスターヴ・モローの「雅歌」が忘れられずに、深く胸に刻まれました。
暗くなりゆく薄暮の静けさを、点描で淡く丁寧に表現した一枚。
モローはほかの作品も好きですが、この絵は、作家の名前もマイナーで結局覚えられず、それからすっかり忘れていたのです。


思い出すものですね〜。
まさしくこの絵は、大原美術館所蔵の『夕暮の小卓〔ヌムール〕』(1921年)という作品でした。

ピチピチのセブンティーンの頃、この絵の前に立って心動かされ、同じグループの友達に「私、この絵が好き」と言ったら、
「あの椅子にDavid Bowieと向かい合わせで座りたいとか、考えてるんでしょ〜、このこのっ」と言われました。
そんな、自分に引き寄せた生々しいこと(?)はまるで考えていませんでしたが、それもいいなと思ったので(ボウイのファン)、
「キャ〜ッ!もう、やだぁ〜っ♪」と照れて小突き合ったことを覚えています。
そんなやりとりまで、鮮明に記憶の底からよみがえってくるなんて。

おそらく私の心のかけらは、ずっとこの絵の中で、椅子に腰かけていたようです。

ちなみに今、同じことを言われたら、「うん!それいいね〜♪」と即答するでしょう。
ああ、あの時の恥じらいはどこに…。

そんなこんなで、実際には展覧会に足を運べなかったものの、このチケット1枚で、十分充実したひとときを満喫することができました。
もうこれからは、チケットは無駄にしないわ〜。
でもそう決心した先から、先週までだった『いのくまさん(猪熊弦一郎展)』チケットを発見して、またうなだれてみたり。
そろそろ、旅行の夏から芸術の秋へと、自分のチャンネルを移していきたいでーす!

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